シャララ

今日は念願の部屋の模様替えに着手した。
あまりに忙しかった9月が嘘みたいで、朝から、何かしなきゃいけない、と見えないものに追い立てられることも無くて、拍子抜けしたように体が動かなかった。
換気の悪い部屋に埃がたちこめて、少し咳をしながら、借りっぱなしの本とか、ボロボロになった教科書とか一つずつ片付けていった。
壁一面に貼ってあったいろんな人のポスターとかリレーでとった3位の賞状を外したら、あんまり部屋ががらんとしたので少しさびしくなった。


母親に言われてようやく気付いたのだけれども、進路によってはもしかするとあと1年と少しで家族と離れ離れになってしまうかもしれない。
たぶん、その場所で就職でもして、運命の人なんかと出会っちゃったりして、もう2度とこの家で【生活】をすることは無くなってしまうのかもしれない。
変な格好で生垣の手入れをする父親の姿も、またDAIGOの真似する母親の姿もいつかは目にすることが無くなるのだ。
それは、とてもとても悲しいことだけど、そういう日は絶対に来るんだろうな。


まっさらな部屋は冷たくすらあったけど、私のまっさらな将来も、きれいに飾られたり、ぐちゃぐちゃになったりを繰り返しながら、いつかはあったかくて優しくて幸せな将来になるんだろうか。


昼寝をする母親の顔を見て、そう思った。